肩こりの原因はストレス情報のオーバーフロー
肩こりに関係する僧帽筋や胸鎖乳突筋はアクセサリーナーヴ(accessory nerve : 副神経)に支配されています。 アクセサリーナーヴは脳幹と脊髄から出ている第11脳神経です。 アクセサリーナーヴは純粋な運動神経なので、筋からの情報が脳幹に戻ることはありません。 脳幹にフィードバックする求心路がなく、出力としての遠心路しか持たない神経なのです。
僧帽筋と胸鎖乳突筋を動かすときは、脳からの指令が脊髄を通り、筋肉を緊張させます。 これは意識的な脊髄-緊張ルートです。 もう一つ無意識な脳幹-緊張ルートがあり、実はこちらが肩こりの原因となります。
ある脳神経からの入力情報が過剰になった時に、脳幹のアクセサリーナーヴからあふれ流れてしまう、オーバーフロー現象です。 ある脳神経とは、五感をコントロールする動眼神経、三叉神経、聴神経、顔面神経など。 これらはアクセサリーナーヴと違って、末梢の情報を脳幹に戻すフィードバック機能を持っています。 このフィードバックは重要なリカバリー機能です。 不快な情報に対して、目を閉じる、鼻水がでる、耳をふさぐ、吐き出すなど、身体を守る役割をしているからです。
しかし、アクセサリーナーヴにはフィードバック機能がないので、肩こりを修復するリカバリーが効きません。 筋肉が緊張し放題になってしまいます。 これが、ストレス情報のオーバーフローが肩こりの原因といわれる所以です。
アクセサリーナーヴからのオーバーフローが僧帽筋や胸鎖乳突筋の緊張を起こします。 その結果が肩こりという症状です。
五感からの強すぎる刺激情報を入れない。 心地よいと思う情報をなるべく取り入れる。 脳幹へのストレス情報を減らし、アクセサリーナーヴからのオーバーフローを防ぐこと。 これが肩こりの予防となるでしょう。
おだ整形外科クリニック 小田 博