肩こりを予防する基本的な心がけ4カ条
1 よい姿勢で生活しましょう (物理的な負担をかけないようにします) 2 適度な運動をしましょう(緊張した筋肉をほぐします) 3 しっかり休息をとりましょう(疲れた心身を回復させます) 4 五感にストレスを与えないようにしましょう (脳幹によい情報を送って幸せホルモンを出します) 1~3は何となく理解出来ると思いますが、 4の「五感にストレスを与えない」とはどういうことでしょうか? 五感とは「視覚」「嗅覚」「聴覚」「味覚」「触覚」の 五つの感覚のことです。 実は、この五感が肩こりを悪化させる原因になっているのです。 今回は、五感と肩こりの関係を説明したいと思います。 ★五感から入ってきた情報は、 脳幹で解析されて、脳幹からカラダの反応として出て行きます。 【1 目からの情報】 近くの細かいものや早い動きのものを注視すると目が疲れます。 眼のピントを調節する毛様体筋を酷使すると、 その情報が動眼神経(第3脳神経)から 脳幹の網様体というところに入ります。 入力された情報がストレスと感じることで、 ノルアドレナリンなどの興奮作用のホルモンが放出されます。 この反応が過剰になってしまうと、 カラダにあまりよくない情報が出力されてしまいます。 後で説明しますが、この出力反応が、肩こりの原因となります。 物を単純に見るという視神経(第3脳神経)は脳幹を通らず、 直接脳に情報を送っています。 ✴︎美しいと感じるものを見ると、脳がリラックスします。 【2 鼻からの情報】 刺激が強く、不快な臭いはなるべく避けけるべきです。 排気ガスやアレルギー物質なども同様で、 鼻の粘膜が刺激されてしまい、 三叉神経(第5脳神経)からの情報が 脳幹の網様体に入ってストレスと感じます。 鼻水やくしゃみはこのストレスの回避反応です。 通常の臭いを感じる嗅神経(第1脳神経)は脳幹を通らず、 直接脳に情報を送っています。 ✴︎心地よい香りを嗅ぐことで脳をリラックスさせます。
【3 口からの情報】 口は物を食べる飲むという食事情報と、 声を出すという発声情報があります。 カラダにやさしい食材はもちろん必要ですが、 美味しく食べるということが大事です。 ✴︎美味しいと感じて食べると味覚の顔面神経(第7脳神経)と 舌咽神経(第9脳神経)がストレスのない情報を脳幹に伝え、 幸せホルモンのセロトニンが放出されます。 このセロトニンが肩こりを予防してくれる 重要なホルモンなのです。 また、よく噛むということも脳幹によい情報を与える 大事な運動です。 声を出すと声帯からの情報が迷走神経(第10脳神経)から 脳幹網様体に入り、やはりストレス回避の情報を与え、 セロトニンが放出されます。 ✴︎きれいな言葉を発して、 脳を過剰に興奮させないことも大事なことです。 【4 耳からの情報】 耳は音を聴くこと、平衡感覚を保つということに関わっています。 自分が心地よいと感じる音楽を聴くこと、または海や山など自然な場所で耳を休ませることが大事です。 静けさの中にも自然の波長が流れています。 この静かな波長が癒しの情報を脳幹に与え、幸せホルモンのセロトニンが放出されます。 平衡感覚は無意識に保っています。歩行時の感覚で重要なのは耳と脳幹です。 ✴︎自然な波長を感じながら歩くということで、 内耳神経から脳幹に大変よい情報を送り、 セロトニンが大量に放出されることにつながります。 【5 触れることからの情報】 ものに触れるという情報は脳神経ではなく、脊髄を介して脳幹に入力されます。 美しいものを見る、心地よい音楽を聴くのと同じように、 出来れば土や木花など自然なものに直接触れて、その感触に感動することが大事です。 その情報は脊髄から脳幹を通って幸せホルモンのセロトニンを脳に伝えています。 ものに触れないと、この脊髄-脳幹路は衰退してしまいます。 ✴︎積極的に触れて感動して、 セロトニンを放出させる脳幹を活性化させましょう。 ★五感で入力されたストレスをカラダにため込ませず 出力しているのは副神経(第11脳神経)です。
五感で感じた情報は脳幹で解析されます。 その情報がカラダへのストレスと判断されると、 副神経から胸鎖乳突筋と僧帽筋へ情報出力されます。 この出力は筋肉を収縮させる働きがありますので、 出力過剰になると筋肉が過緊張状態となってしまいます。 これがストレスによる肩こりのメカニズムです。 肩こりを予防するには、この筋肉を支配する副神経からの出力が 過剰にならないようにすることが大事です。 実は、副神経には筋肉からの情報を入力する 経路(求心路)がありません。 副神経は純粋な運動神経のため遠心路の出力だけです。 ですから、他の脳神経からの悪いストレス情報が 脳幹に入ってしまうと、 副神経が過剰に反応して筋緊張を起こし、 結果的に肩こりが起こってくるのです。 副神経はとても責任感の強い神経だと思います。 自分には関係のないストレス情報を認識して、 自分が何とかしようと頑張るのですから。 もしも、副神経に求心路の感覚神経もあったらとしたら、 筋緊張というストレス情報が脳幹に入力され、 リラックス作用のセロトニンなどを放出して 肩こりがコントロールされていたかもしれません。 しかしながら、副神経に求心路がないことで、 人には疲れたら休む、無理をしないという休息モードが生まれ、 カラダや脳への過剰なストレスを回避することが 可能になっています。 私たちが日常生活の中で感じる五感の情報に、 出来るだけストレスを与えないということが、 肩こりを予防するための重要な心がけのひとつだということを