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EARHOOK Story

【高齢者の自動車運転事故を減らすための一歩】

高齢者の自動車運転事故が問題となっています。


近い将来、アクセルとブレーキのどちらを踏んだかを監視するドライブモニターが義務化されるそうです。


元々、高齢者は細かい動作が苦手です。

緻密で巧みな動作が年齢とともに出来なくなることは誰もが必ず訪れる現象です。


そのような高齢者が自動車を巧緻(こうち)に運転することは可能なのか、その解決策はどこにあるのかについて述べてみたいと思います。


医療における、主に整形外科分野では巧緻運動障害という言葉を時々耳にします。

脊髄の障害で手足の巧緻運動が低下する症状のことです。


脳からの司令が脊髄を通って手足の巧緻運動が行われますが、この回路になんらかのトラブルが生じると、自分が思ったようには手足が動かなくなります。


残念ながら高齢者は病気ではなくても、この巧緻運動能力は加齢的に低下してしまうことが多いのです。


自動車運転でのアクセルとブレーキ動作はこの巧緻運動に他なりません。


とっさの判断でアクセルからブレーキへとスライドさせる動作は実に緻密な動きといえますが、このとっさの一歩の動作が出来ない高齢者は非常に多いです。


アクセルからブレーキに移動しているつもりでも、一歩を移動していないままアクセルを踏んでいるので急発進や急加速してしまうのです。


日常生活では元気に動き回っている高齢者でも、巧緻運動が低下している人がほとんどです。そして、本当に怖いのは本人が自覚していないということです。


当然、ご家族や周囲の人も気づきません。


「おじいちゃんはいつも元気で良いね!長生きしてね!」と無責任に励ましながら、何年間も高齢者の自立を強いているご家族は要注意かもしれません。


矯正視力が悪い、認知が進んだ、脳梗塞になったなどは明らかに自動車運転は無理と判断されますが、巧緻運動は判断が難しいです。



とっさのアクセル、ブレーキのような一歩の動作が正確でなければ、高齢者は自動車を運転してはいけないのです。


高齢者の巧緻運動低下が自動車運転事故につながるかもしれない。


このような現象が誰にでも訪れるということを知っておかなければなりません


それが、高齢者運転による痛ましい交通事故を減らすための大切な一歩だと思います。




小田 博 おだ整形外科クリニック院長(株)ディディトリニティーラボ代表








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